企業やお店などの象徴でもあるロゴマークは、企業の特徴を上手く表現しながら、多くの競合店と差別化を図らねばなりません。特に食べ物を扱う飲食店となると、インパクトを与えると共に、食欲をそそるデザインであることも求められます。
今回は、印象に残るようなロゴマークの表現のポイント等を、具体例も交えて紹介していきます。
ロゴマークの意味
美味しい料理と盛りだくさんのメニューだけでは、お客を惹きつけることはできません。美味しくみえるロゴマークに、実は重要な発言権が込められています。気の利いたロゴマークは、お客の心を潜在的に魅了しますが、人の心に刺さらないロゴマークはお客を寄せ付けません。
美味しい料理にそれ相応の食材が必要であるように、ブランディングの成功は、合致するデザイン要素を組み合わせ、アピールできるかにかかっています。いわば、知識とセンス、インスピレーションが求められるのです。
色、配置の選択
まず、選んだ色および配置が、ターゲットとするお客の欲求に訴えかけるようにします。特に、暖色系の赤、オレンジ等の色合いは、このゴール設定に極めて適しています。例えば、マクドナルドやバーガーキングのロゴマークは、柔らかく温かみのある色を有効に活用しています。
空腹感を煽る戦略とも言えます。ちなみに、マクドナルドはマクドナルドのMという曲線を黄色に設定し、明るさ、快活さもアピールしており、バーガーキングは、真ん中に優しい黄色い円を置くことで、柔和な印象を醸し出しています。
ですので、寒色系の青、紫系をメインに据えた飲食店のロゴマークは、空腹感からはほど遠いイメージになります。
適切な要素を盛り込む
アイコンを選ぶときは、提供する食べ物のイメージなどにもこだわりましょう。テイクアウトを含む飲食店の場合、アイコンは早さと信頼度を強調する必要があります。有機野菜や健康にこだわった飲食店であれば、フレッシュなアイコンを用いると、より人々の記憶に残ります。
また、お米販売店であれば、日本らしさをアピールするためにロゴマークに富士山や桜を入れ込むと、外国人にも強いインパクトを与えることができます。
トルティーヤチップスの例
アメリカでは、トルティーヤチップスは人の集まる場所で出されるスナック菓子ということで、ロゴマークにはパーティーで人々が楽しむ様子が描かれています。細かい点までよくみると、中央の、2つの小文字の「t」が人に見えるように配置されており、その手にはトルティーヤチップスがあります。
そして、その2人の人物にはさまれた「i」のドット柄は、真っ赤なサルサソースの器という設定です。しかも、背景のギザギザ模様の形はトルティーヤチップスをイメージしています。少しコミカルで可愛らしいロゴマークです。
マニトバハーベストおよびケータリング会社の例
カナダの健康食品メーカーであるマニトバハーベストは、農業や自然をモチーフにした親和性の高い緑色が使用されており、こちらの企業のホームページも緑色で統一されています。ロゴマークには、緑色に少しグラデーションを入れて、全体的に爽やかな溌剌とした印象です。
ただ、商品のパッケージは、商品ごとに青色や茶色に区分されており、商品のロゴもそれに合わせています。また、ケータリングサービスのロゴデザインで、そら豆を用いている会社があります。全体のイラスト部分と、ロゴタイプの両方とも目に優しい明るい緑色が使われていますが、独特のフォントを使いそら豆をよりリアルに描いています。
パーティーやイベントなどに使うケータリングサービスですが、競合も多いので鮮烈な印象を残すことが大事なのかもしれません。
ロゴマーク作成方法
ロゴマークの設計を始めるため、まず、企業名または会社名を入力しますが、最適なロゴマークを作るためには、配置にもこだわる必要があります。次に、ロゴマークのデザインを形作っていきます。この段階でフォント、レイアウト、色を十分に吟味していきます。
色を決めることがロゴマーク作りでは重要な位置を占めるので、客を上手く誘導できるような色合いにします。そして最後に、形状や色のグラデーション、視覚効果までカスタマイズしていくのです。
ロゴマークを成功に導くためには
ロゴマークは、提供するサービス、商品にリンクさせなくてはなりません。ですので、企業独自のアイデンティティを伝えるために、3つのポイントを紹介します。まず、ロゴが象徴するものとは何かを理解しておく必要がありますが、それは、その企業のクリエイティブなサービスの提供および独自のテーマを示すことです。
というのも、各々のビジネスにはオリジナルなコンセプトが必要なので、ロゴマークはよりシンボル的ものにする必要があるからです。さらに特別な技術、センスが加われば、生み出される商品を象徴したロゴマークになりえます。
次に、企業自体をどのようにイメージづけるかという点です。例えば、金融業界であれば、キーワードとして、丁寧、真面目、信頼を選ぶことがあるでしょう。犬の散歩代行というサービスなら、献身的、思いやり、親切というキーワードにする可能性があります。
この2つの例を比べても、ロゴマークでそれぞれ使用する色、フォントなどは全く違うものになります。ロゴデザインを考えるスタート地点としては、ビジネスやサービスを3つのキーワードでイメージすることから始めるのも面白いですよね。
3点面は差別化です。いわば、企業ならではの強みを突き詰めることです。競合の多い食品業界で独自のブランドを立ち上げる場合、個性的なロゴマークが強力なサポートとなります。ロゴを通じてストーリーを客層にどのように伝えることができるのか、戦略的に考える必要もあります。
その上で、お客にインパクトを与えるような、強いメッセージを持つロゴをデザインするとより効果的です。同じエリアにある他の飲食店と差別化し、お客が足を運びたくなる仕組みを考えなければなりません。
息の長いロゴマークにするために
食べ物の会社は競争が激しい分野なので、商品サイクルも早く、ロゴマークや特徴あるパッケージが軒を連ねています。いわば、ロゴマークが商品化しているとも言えます。それでも、ロゴマークはロングスパンで考えることが賢明でしょう。
商品やブランドイメージは状況に応じて変わりますが、流行に左右されることなく、ブランディングすることが大切だからです。